貧果に喘ぐルアーマンが初めてセット物のフライ道具を持ち出し、既製品のブラックモンタナを結んで川に入る。程無くマーカーが走ってロッドを立てると勢いよく鱒がジャンプした。・・・・記憶も薄らぐ昔の私である。
それからここは私のオフのフライ道場となり、色々な釣り方や毛鉤を試しては楽しんできた。最近はルアーのお客を意識してか若干魚が大きくなり、その分魚影は薄くなった様な気がするが、まあそれなりにそこそこ釣れる釣り場だと思う。昔から手堅いのは・・やはり浮釣ニンフ(ルースニング)だった。当時はブラックモンタナでもコンスタントに釣れたし、浮き釣りを嫌ってウィリーバッガーでチョンチョン引きをしていた者も居たが、ごく僅かだったと記憶する。
そこに誰かがタコフライやグローバグを持ち込むとモンタナやウェリーバッガー、そしてリーチなどは極めて効果が薄くなり、更にヘアーダビング(ニンフやスカッド)も混じって毛鉤は一気に多様化した。
その後釣り人も増え、リバーランズスルーイット効果で女性も混じって華やかになり、ピークを過ぎると入れ替わる様に極小ミノーをぶら下げたルアーマンが増えた。
この様にこの釣り場の変化をずっと見てきたが、一番手堅いのはやはり今でもルースニングなんだろう。私の場合、どうしてもイクラフライ(グローバグ)に頼るのが嫌で色々と試行錯誤の挙句に行きついたマラブーバグとヘアーバグに落ち着き、今でもここに限らず放流虹鱒のルースニングとなればこれらの毛鉤で釣っているが、最近は他の釣りがパッとしない時や、とにかく魚の顔を拝みたい時にするぐらいで、マーカーを付けるのは二の次の釣りになってしまった。
料金を支払う事務所前は餌釣りエリアで、そこから上流を目指して餌釣エリアとの境界となる堰堤から上の流れ(下エリア)とそこの上流にある堰堤から竹藪前あたり(上のエリア)がルアー・フライ専用区である。私の場合はまず上のエリアでミッジングを視野に入れる。
常連なら誰でも知っていた「柿の木」が切られてから魚が上がりにくくなり、一時期に比較するとミッジングは不調になった。しかし、ライズが安定していれば狙って釣れないことはない。#20~#26ぐらいのドライやピューパで何とかなる。
下のエリアは最下流のアウトレットの浅瀬でスイミングピューパの釣りが面白い。CDCを付けてないタイプのミッジピューパ#18やファザントテール#16、ギンギラのDWN#16あたりを水面直下でチョンチョン泳がせると・・水面直下で『モワッ』っと反転してヒットする。
下エリアのインレットでは落ち込んだ流筋をウェットで横切らす釣りが面白い。水温(時期)により流す層が変わることだけを頭に入れておけばテクニックも何もない。通常はリードとドロッパー1本でやっている。毛鉤の種類は特に気にせず流す層だけに注意すれば誰でも釣れる。
後は3月末以降で特に面白いのが上のエリアの対岸ギリギリにマイクロポッパー(今はガーグラー)を投じて行うポッピングである。サイズは#10と小型で、対岸ギリギリに投じて一度「ポコン・・」をやると『ガバッ・・』と喰ってくる衝撃を味わえる。但し、いつでも成立する釣りではないことを頭に入れておく必要があり、半分以上ブラウンが占めるので、本来はマドラーミノー等で喰わせるのが正解なんだろう・・しかし、ポッピングは衝撃的でハマると病み付きになり止められない。
もう一度話を戻すが、特定の条件が成立しない限り、数を望むなら管釣人気毛鉤のルースニングであることは疑う余地もない。それとここは水質がその日によりかなり異なる・・澄み切った時もあるが、白く濁る時もある。ルースニングでマラブー系の毛鉤なら、澄んでる時はブラウンかオリーブが良く、濁りが入るとオレンジやチャートリュースが良い・・・と思うが、これは人それぞれかも知れない。
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