「京大演習林を釣らないで美山が語れるか!」と言われれば「おっしゃる通り!」と返す言葉もないが、私は未だに演習林は知らない。
今でも林道沿いから離れてどんどん歩いて上がっていく渓は気が引けて足が止ってしまう。これは恐らく初めた当初に遭遇したプチ鉄砲水がトラウマになっているのかも知れない。
従って、私が知る美山の上限はこの櫃倉谷である。ここは芦生なめこ組合さんが特別区として管理されており、渓沿いに林道はあるが車(自転車含む)を乗り入れることができない。車はなめこ組合さんの横にある桜並木の広場にハイカーに混じって留めさせて頂く(清掃協力金の箱にお金を入れる)・・そして、ここからチェーンで車止めされた林道を歩いて上がっていくことになる。
何時でも何処でも林道脇に止めた車の近傍から入渓する癖がついてる私としては・・実際、コイツが結構鬱陶しい・・・チェーンをまたいで直後に見える堰堤を脇目にテクテク歩くと橋を渡ってエエ加減イヤになる頃にまた堰堤がある。
この入口の堰堤~中程の堰堤までが成魚放流区、これより上流が自然区(稚魚放流あり)で料金が異なる。
とりあえず成魚放流区対応の料金を払っておけばどこからでも入渓できるので、とりあえず全域の料金を払って「まずはヤマメやろ・・」とテクテク歩きだすが、いつも中程の堰堤まで我慢が出来ず、ついつい先行者の邪魔にならない手頃な所から後追いしてしまう。
やはり成魚放流区は魚影がしっかりしていて漁獲を求めるならこちらで竿を出すのがよい。
しかし、本当にこの渓を楽しむなら自然区をお勧めする。中程の堰堤を越えてから入渓して釣り上がって行くと「内杉谷」との合流点がある。「内杉谷」はいつ見ても貧相に見えて入ったことがなく、毎回櫃倉谷を釣り上がっている。
保水がしっかりした森なのか流れる水も落ち着いて苔生した岩が多い渓である。内杉谷との合流点を越えて直ぐに橋があり、この先カーブを2回ぐらい曲がるとまた橋がある。
ここからはひとカーブ毎に橋をくぐりながら釣り上がれる苔生した小渓流で雰囲気も良く魚影もある。
このあたりまでは車から約2km・・・本当にこの渓を楽しむなら、私の様に遅出でノコノコ出てきて我慢できずに下手で入る様な事をせず、早朝から入ってこの連続する橋辺りから釣り上がるのが正解だろう。
しかし、この渓は毛鉤のシーズン最盛期を迎えるとそろそろ禁漁となる短い釣期である。残雪が残る早期に餌釣り師と張り合っても勝ち目はない。そう言う意味では餌釣り向きの渓かもしれない。
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