広河原で餌釣師と話していて教えてもらったのがこの小塩川である。
「あんまり上へ詰めん方がエエ・・堰堤が狙い目や!・・結構上がる(数)でぇ・・お宅のその毛鉤ではわからんが、いっぺん行って見はったらエエ!・・」と聞いて勇んでやって来たものの・・
「何ここ?・・こんな護岸の川で釣れんのぉ?・・・『堰堤が狙い目や!』って・・堰堤しか魚が居そうな所ないやん!・・・」・・・と言う風情の微塵も無い川であったが、護岸の上から怠慢キャストの一投目にあまごがマグレで掛かりいきなり本気モード突入!・・
しかし、どうやって取り込むか思案している最中にバラシ・・・それからカリカリしながら釣りあがって行った。
堰堤と堰堤の間は歩くしかなく、堰堤ごとに毛鉤を投じる。
川のイメージとは裏腹に結構アタックはあったが、マグレ掛かりは二度と起こらなかった。
もしかすると最初のマグレ以外は雑魚のアタックもかなり混ざっていたかも知れない・・・当時はそれが見分けられる程、良くわかっていなかった。
その日から上桂川流域に来ると、毎回所々の堰堤に挨拶がてらに護岸から怠慢キャストをするポイントとなったが、漸く1匹釣上げると余りにも風情の無さとフライフィッシングらしからぬ釣り方でここの熱も冷めてしまった。
やがて釣り仲間も「美山が良い・・」と言い出し疎遠になった。
思い起こすもこの小塩川の景色は全く記憶から消えており、瞼の裏に焼きついているのは護岸から堰堤に投じて見つめるドライフライのみで、今はどうなっていることやら・・・サッパリわかっていない。 |