ウェットフライに手を染めて、念願のブルーの色調を有した毛鉤を手に入れると次なる色は【グリーン】である。
これもマラブーを用いた毛鉤等では扱われる配色であるが、グリーンのハックルとなればやはりドライでは躊躇ってしまい、この辺りを何とか取り入れたいと考えると色々あるにはあるが、今一つパッとしない・・と言うか、巻いてお試しで使う気にもなれなかった。
そんな緑族の中で、時折試して見る毛鉤がある。
マタドール・・「闘牛士」と名付けられたこの毛鉤は私のお気に入りであるバード・ダックをウイングに施され、ルックス的にも結構気に入っている事は事実である。
しかし、コイツがまた[ふざけた奴]で全く話にならない。
ティペットに結んで投じても、流れにもまれてフラメンコを踊っているに過ぎない。
当りもカスリもしない状況に呆れ果てて手元に手繰り寄せても、平然とした様相が一段とふてぶてしく見えてくる。
「お前さん!自分が何せなアカンかわかってるか?踊ってるだけやったらアカンで!」・・と諭しても全く聞き入れない。
「闘牛士ちゅ~ぐらいやから、それなりの劇場で登場させなアカンのか?」と、甘い親心でイブニングライズに起用しても、牛ならぬ魚から全く相手にされない。
「お前のウイング結構割高やねんぞ!エエ服着せてんねんさかぃ働けよ!・・踊りの衣装とちゃうで!」と、じっと我慢して待ち、やがてライズが始まり出すが、コイツは流れに揉まれながらフラメンコ真っ最中・・
イライラしてくると魚がライズする度に、釣り人の私がおちょくられている気分になる。
[ピシャッ!](何してまんねん?)
[パシュッ!](釣りでっか?)
[バチャッ!](何かお宅の毛鉤・・踊ったはりまっせ!)
[モコッ・!](それにしても派手でんな!)
[パシュッ!](あれでワシら釣るつもりでっか?)
[バチャッ!](笑かしたらあきまへんで!)
[ピシャッ!](もっと真面目にやんなはれ!)
「じゃ・かぁ・まぁ・しぃ~!・・片っ端から釣ったるさかぃ!待っとれ!」
・・と、闘牛士を退場させて他の毛鉤に交換・・
何時になったらトドメを刺すのかマタドール・・試練は続くし!
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