キング・フィッシャー(カワセミ君?)の怪しいコバルトブルーの色調をベースに巻かれたこの毛鉤は、他の毛鉤とは異なり一線を画す様な風貌である。
試しに巻いて渓に持ち込んで見た所、やはりタダのゴミだった。それどころか水面を怪しく光りながら流れる存在感は釣り人である私も背筋が凍る様な雰囲気で、渓全体から反感を買って狂人行為で在るかの如く貶められる。
通常は慌てて他の毛鉤に戻し、何事もなかった様に渓のご機嫌伺いに徹するが・・・・
今までに二度、異様な雰囲気に包まれてこの毛鉤が気を吐いた事がある。唯事ではなく妖気が漂う魔力の様な勢いであまごを狂わせ足元に運んでくると言う表現が正しいかもしれない。
釣ったと言う感覚ではなく、釣れたを通り越して勝手に魚が喰らいつくと言う感じである。
一度目は余りにも異様に感じて、辺りに狐狸が潜んでいないか確認した(笑)。
少し言い過ぎかもしれないが、魚も釣られるとわかっていながら・・・危険だとわかっているにも係らず、追い払わずにか、銜えずには居られないと言う雰囲気で掛ってしまう。
何が影響しているのかサッパリ理解できない。二度の経験を整理すると、共通するのは①暗いポイント、②深瀬・・の2点で、かといってイブニングに何度試してもやはりゴミの域を脱しない。
もう少し掘り下げると、二度とも快晴に近い状況でコントラストのはっきりした日であったかも知れない・・・そんな日の日陰で一段と暗い深瀬であったと思われる。魚は二度ともあまごで他の渓魚には利くのか否かもわからない。
今後どこかで三度目の魔力を出すのか?あの二度で終わるのか?・・・私のフライボックスで#10に巻かれた5個の魔法使いが怪しく薄笑いを浮かべていて・・『薄暗い状況でコバルトブルーは怪しく魅力的に輝く・・・』と半ば呪文の様に思い起こしてはティペットに結んで場を潰し、即刻、渓のご機嫌取りに徹する状況・・・未だに不可思議極まりない。
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