『魚が勝手に食いつく本(祥伝社1983)』著書は俳優の今井健二氏・・以前ブログ(机上編)でも取り上げた様に、私がこの釣りの入口で戸惑っていた頃、背中を強く押し出してくれた本である。
この本の中に著者が浅草で見つけた喜楽釣具店の二代目にフライをやりたい熱意を伝え、その場に有った試作品を有り合わせの持ち金で譲ってもらった・・・と言う粋な話が綴られている。そしてフライフィッシングを嗜む様になり、最終章ではごちゃまんと使用した数あるロッドの中から【忘れられない二本の銘竿】として、この最初に手にした試作品ロッドを取り上げておられた。
このロッドこそキラクさんのパールフライと呼ばれたロッドである。何でも化学繊維で拵えるロッドはどうしてもブランクに若干の捻じれが生じるが、これを解消する為に【竹を真似た節を設ける発想】が盛り込まれたロッドであったらしい。
ここまで知ってしまうとグラスやカーボンなどの拘り以前に『キラクさん』と言う老舗と『パールフライ』と言う銘グラスロッドが私の憧れとなってしまった。そしてこの想いは[ライトマジシャン]と言うエントリーモデルを手に入れて幾分解消されたものの、既に廃版となっていた『パールフライ』に対しては、せめてこの血統を受け継ぐグラスロッドを使ってみたい・・・と言う想いへと変わって行った。
そんな時、ある知り合い筋から中古で手に入れたのがこの[フライマジシャン]である。
漸く[憧れ]に辿り着いたものの、写真で見たパールフライの【竹を真似た節を設ける発想】が盛り込まれた痕跡もなく、実用的には程遠いアクションで苦笑するしかなかった。・・・・当然、直後に御蔵入りが確定し忘れ去られたロッドとなったことは書くまでもない。
コイツを見直したのは、ショートロッドでグラスも含めた模索を始めた頃である。
やはり進駐軍相手にカーボン素材の無い時代からグラス素材に向きあった老舗の強さ・・・と言うか、明らかにカーボンと差別化する様に拵えられた昨今の国産グラスロッドとは一線を画すと感じた。
このロッドを用いる場合はグリップに重心が来る様にドッシリと重いリールを装着することかもしれない。
残念ながらバーミンガムスタイル等のクラッシクタイプのリールを持ち合わせない私の場合は、カーボンロッド向けのマシンカットリールでバッキングの中間に鉛線を巻き込んで180gの#4リールを拵えている・・(汗”)
ここでバーミンガムスタイルのリールなんぞを手に入れ様ものなら・・一気に拍車がかかってバンブーに傾向しないとも限らない(笑)。
これも四半世紀この釣りをやりながら得た浪費を抑えるコツ・・のつもり・・・(時間の問題の様な気もするが)・・である。(笑)
|