概ね私が出向く小渓流を詰め上がると、急峻な落差が出始める前に流れが枯細り薮が複雑な空間を織りなして来る感じがしているが、これは北近畿地方で最も一般的な渓相ではなかろうか?・・
この様な場所では、可能限ナローループで狭スペースを通し込み、フライをベストスポットに打込みたいと考えるものの、ナローループを真髄とするロッドは概してラインスピードが速く、粗雑な私の性分では瞬く間に藪の餌食となるが毎度の事・・・・・
「それでは!」と、スロースピードでトルク勝負のロッドを持ち出すと、それなりに制空権を得られるもののワイドループは避けられず、ここ一番のスポットにループが解ける空間が無く、論外と言わざるを得なかった。
こうなると何とかナローループのままでラインスピードを極力抑えたいと言う欲求が生じて来る。 この欲求を満たすべくひとつのブランドが候補に挙がったものの、その価格帯から二の足を踏んで先送りしていると、いつしかメーカーさんのカタログから消え、やがて店頭で見かけることもなくなってしまった。
「あぁ~ぁ・・・無くなってもぉ~たし!」 ・・・・幾度となく購入を考え、今一歩が踏みきれずにいた件のロッド・・・後悔先に立たずで縁がなかったと諦めていたが、昨今釣り仲間の中古市場買い漁りを目の当たりにして、同様の手口で中古市場から手元に転がり込んだのがここに紹介している2本のロッドである。
私がこれらロッドに注目したのは御大層なケースやバンブーを意識したカラーリングではなく、前述した欲求を解決してくれそうな[調子]そのもので、察するにケースや装飾のコストを切り詰めてもう少し価格ダウンで売り出されていれば早々に迷わず購入に踏み切っていたかもしれない。
グレンモア・・・今までDAIWAさんのフライロッドはファントム時代からそれぞれを間引く様にご使用させて頂いた経緯があり、それぞれで重宝させて頂いたが、この2本をあらためて手にすると「DAIWAさんが世に送り出したフライロッドの中でも最高傑作ではないか?」と感じている。
前述したナローループとスロースピードの相反する欲求を私なりの一つの妥協点で解決してくれる[調子]を有したロッドが6フィート9インチの薮沢スペシャル・・・
別項にも記載した「カーボン素材のロッドは6フィート半まで(それ以上短くしてもロッドにラインが乗ってるとは感じにくい)」と言う感覚的概念を覆したロッドが6フィートの葉隠れスペシャル・・・
夏の高水温に苛まれて渓を詰め上が事しか手立てが無くなる北近畿渓流事情を勘案すれば、今後もこれらのロッドは頼りになる存在と考えている。 |