この原稿を書いている最中でカムパネラさんのHPを確認すると、【2009年12月末をもってc3833は生産終了となりました。】って、「うっそぉ~!こら大切に扱わなドンならんでぇ~・・」と思わず声が出てしまった。
このロッド・・中途半端に太いバットで、素振りをすると何となくタイミングが取り難いと感じた為に、店主に勧められた時は実際パッとしなかった。当時8フィート強は既に#2ながらも他に代え難いロッドを有していて、特に不自由していなかったのも一因かもしれない。
ところが何時しか里川のドライフライでしっくり行く8フィート強#3の模索が始まり、工房さんの宣伝文句と店主の勧めを信じて購入に踏み切った。おそらく、私の購入ロッド高額ベスト3に入るであろう・・4万超えは余程の事がない限り手を出さない事にしているので、直後に後悔した記憶がある。
しかし、渓に持ち出してラインを通して振った途端、他では味わえない心地よさに魅了されてしまった。
この竿・・実にユニークで私がイメージした以上の優れものである。
上手く説明できないが、フォルスキャストをしながら川の中を移動している時は7フィート9インチぐらいのドライフライロッドの感触で、プレゼンに入ってポーズを決める直前にシャカシャカとロッドティップが数インチ伸びてポーズが決まる様な感触である。
この微妙なタイムラグが飛行中のリーダーを若干加速させ、リーダーを見事にターンさせてくれる。私の場合、丁度ロングリーダーでリーダーをターンさせる為にシュートの段階で手首を使って振り下ろす感覚で釣っているが、その動作をこの竿は見事に補ってくれる。
一方でこの手の軟調ロッドにありがちなボテンボテン感を差ほど感じない。
但し、あくまでも私の印象であり本当のところはこの竿をお造りになられた方に伺わなければ真意は得られないだろう。
一言で示せば、「この釣りに熱を上げる釣り人が、何度も平瀬や里川に出向いて試行錯誤を繰り返し、漸く行き着かれた一つのスタイルを象徴する竿」・・と言う気がする。
廃版にするにはとても惜しい竿であり、生涯大切に使って行きたいと思わせるロッドである。
もし、中古市場に出ていて迷っておられるなら【文句なく買い】をお勧めする。 |